機器及び管路の洗浄は、機械的洗浄工法と化学的洗浄工法とに大別されますが、何れも長所、短所があり、夫々の特性を充分活用し、対象設備の種類、型状、付着スケールや、付着物の組成物性、廃液処理の難易や洗浄コストなど、様々な要因を調 査検討し、施工方法の選択決定を行なう事が必要です。
又、洗浄効果、洗浄コスト等総合的に考慮した結果、機械的洗浄工法と化学的洗浄工法の特性を活かした併用工法で実施される場合も広く行なわれています。
超高圧JET洗浄機は、30Mpa超の機械が各種開発使用されていますが、施工対象、施工目的により、超高圧JET洗浄機の機種を選定し施工します。
超高圧JET洗浄機の噴射水で、熱交換器の完全閉塞チューブ内の硬い付着物の除去、ゴムライニングや樹脂ライニングの剥離、コンクリートのハツリにより内部鉄筋の露出等、従来から困難とされていた硬質、軟質の対象物除去に威力を発揮します。
又、超高圧水噴射水に研磨剤を混入させてコンクリート、鉄材を切断することも可能です。
エコマスター2000はコンパクトでパワフルな超高圧JET洗浄機であり、様々なニーズに対応し得る多目的機種として産業洗浄業種はもとより、建設業、塗装業、等多くの業種に利用されています。
昨今、超高圧JET洗浄工法が各分野で需要が高まり、施工目的に合致した色々な機種の超高圧JET洗浄機が、国内外各メーカーから開発され実用化されています。
例えば大口径配管で多量の硬い付着物の洗浄には吐水量を多く、吐水圧を可能な限り低くする機種を使用し、熱交換器の非常に硬いスケールによるチューブ閉塞を通管洗浄するような場合は作業効率、安全性を配慮して吐水量を少なく、吐水圧の高い機種を選定します。
経験と実績を踏まえた特殊技術を要求される工法であり、現場の状況に合わせて多種多様なアタッチメントを駆使し、安全サイドを含め、周到な工事計画を立案する事が肝要です。
超高圧JET洗浄機を使用しなくても洗浄可能と判断される施工対象の物件については、高圧JETにて実施します。
高圧JET洗浄機は、以前から一般的に普及し、効率的な洗浄方法として、充分認識され、各分野で多用されています。しかしながら、産業設備の洗浄については、施工対象設備の障害程度、設備の構造、立地条件等、一件一様の状況が多々あり、綿密な洗浄計画で対応することが要求されます。
洗浄技術として重要な事は、高圧JET洗浄機の吐出圧力及び吐出水量のバランスをうまく設定し、各種アタッチメントを的確に選択する事であり、その結果、効率的、経済的な洗浄効果が得られます。
高圧JET洗浄は、一般的に超高圧JET洗浄より低コストで実施されています。
高圧JET洗浄機での洗浄、可、不可の判断は、下見調査等現場情報を把握する事はもとより、設備の種類などから、経験的に判定を下すのが通常的に行なわれているのが現状です。
水を使用するため、経済的で対象物を傷めるといった心配がありません。
手作業での洗浄が困難な箇所でも、高圧水JET洗浄機なら威力を発揮し、高圧水で汚れを手早く落とし、人手もいらず工期短縮にも繋がります。
高密度発泡ポリウレタン製の母材に、必要に応じてその表面に耐磨性に優れた樹脂サンド及びワイヤーブラシ等を特殊コーティングした砲弾型弾性体です。そのピグを配管内に圧入後、水、エアー、窒素ガス等の背圧で圧送、走行させ配管内付着物の除去を行ないます。
PIG本体は極めて延び、弾性に富んだ材質である為、90度ベンド、ショートエルボ、コイル状管、タコベンド、チーズ管なども問題なく走行し、どのような形状でも比較的低い圧力で走行させることが出来ます使用PIGのサイズは標準品で15A~600Aですが、特殊サイズ及び600A超の大型については別注で対応できます。
その他PIGの特性を利用して広範囲な物件に対応出来ます。
PIG洗浄を実施するに当たり下記の調査確認が必要です
PIG洗浄工法はPIG挿入口、PIG出口を確保すれば、その間の配管は数回のPIG通管で洗浄が出来ます。
PIG出入り口の距離は、配管内付着物の性状、量にもよりますが、弊社の実績では、約100~1500m走行させることが可能です。従って、JET洗浄、化学洗浄と比較した場合、配管の縁切り、加工の作業箇所が格段に少なくなり、低コストで施工できます。
PIG洗浄の原理は、PIG本体が施工対象配管より少し大きい外径で製作されており、気体、液体の圧送源で配管内に挿入された時点で配管とPIGの接触面で無数のダーツが出来ます。そのダーツから背圧送源の気体、液体がリークすることにより、PIG前面にJET噴流が発生し、配管の付着物を剥離、粉砕します。剥離、粉砕された付着物は常に後方から圧送されてくるPIGより少し前に
間隔を置いて圧送され、後ろからPIGが配管内面に密着しながら走行し、摩擦に依る研掃を行ないます。
背圧々送源がリークすることがPIG洗浄の洗浄原理である為、走行中の背圧はチーズ、エルボの通過時を含めても通常0.01 Mpa~0.3 Mpa程度の背圧でPIG通管洗浄が実施できます。
PIG本体の種類は発泡ポリウレタンの密度、表面コーティング、形状等が豊富に揃っていますので、洗浄目的に合致した各種PIGの選定が出来ます。
化学洗浄は、機械設備等の目視困難な箇所のスケール等の付着物で、障害が発生している場合の対応工法として、又、洗浄対象設備の経路が複雑に入り込んでおり、機械物理洗浄では洗浄不可能な場合、一般的によく利用されています。
薬液循環仮設ラインを仮設し、対象設備系統内に選択設定された薬剤を注入循環する事により、洗浄目的が達成されます。但し、洗浄効果が充足されることは勿論でありますが、洗浄対象設備の材質に悪影響が出ないことも並行して計画することが求められます。
化学洗浄を実施するにあたり下記の項目について調査確認が必要です。
①洗浄対象設備全系統の材質
(鉄鋼、非鉄金属、有機高分子、無機材料等その詳細)
②付着物の組成、量
③障害の状況
(洗浄経路が閉塞しているか、通管しているか)
上記調査の結果、薬剤、薬液濃度、洗浄時間、洗浄温度を設定し、化学洗浄を実施します。
化学洗浄は、対象設備の材質に対して悪影響が無く、対象付着物を完全に除去できる薬剤を選定する事、又、薬液が洗浄経路内をうまく循環できる循環系統の仮設をする事が重要です。
酸洗浄の場合、洗浄後の対象設備金属表面は活性化している為、防錆処理を行い、金属表面に不動態化皮膜を生成し、後錆発生を防止します。
化学洗浄の基本的な施工手順
化学洗浄は、薬剤の選定にあたり、洗浄対象経路の流体分析から付着物の見当がつく場合、多くの場合、市販の調合済みの薬剤が洗浄目的別に各種販売、使用されているのが現状です。
水質分析等で付着物の推測が出来ない場合、付着物の成分分析、溶解テストを実施し、慎重に薬剤の選定を行ないます。又、必要におおじて調合済み薬剤に助剤を添加したり、薬剤の原材料を
現場にて洗浄効果を確認しながら調合する場合もあります。
何れの工法も、洗浄作業に伴い洗浄廃液、剥離固形物等が発生します。そのような廃棄物を構内で処理できる場合、できない場合様々な状況が考えられます。
現在の廃棄物に関する環境では、洗浄廃棄物は専門業者による遵法処分が必要であり、マニフェスト保管が義務付けられています。
洗浄メンテナンスを計画するにあたり、同時に洗浄廃棄物の処理方法を決定する必要があります。
洗浄メンテナンスは洗浄前の調査、検討等、煩雑な手間がかかり、敬遠されがちな施工方法と、とらえられがちですが、産業洗浄専門業者の立場では、日常的に行なわれている業務内容であり、蓄積された資料が備わっており、経験上、施工方法の選択は瞬時に判断されています。
各ユーザー様が、施工結果に満足される事が重要であり、その為の充分な下見、打合せを経た上で、洗浄業者から施工計画書、施工見積書を提出し、御確認の上着手する手順で施工致します。
同じ物件を定期的に繰り返し施工する場合は、最小限度の調査で準備が可能であり、効率的な洗浄が実施できます。
洗浄メンテナンスは予防保全として定期的に施工し、トラブルを未然に防ぐのが本来のメンテナンス方法でありますが、近年は機械設備などが稼動不能の状況になってから事後保全的に対処する場合がまれに見受けられます。
各工法を駆使して、その設備が運転可能な状況までの目的は達成されていますがコスト、設備に与えるストレスによる悪影響等で、あまり好ましい対応とは思われません。
設備の障害が察知された時点で、洗浄コスト、設備の延命等の面から、本来の予防保全的な洗浄メンテナンスを御検討される事をお勧め致します。